(原因と薬なしの対応についての説明)
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1.特徴
過敏性腸症候群は腹部の不快感や腹痛、食欲不振、慢性的な便秘や下痢という症状と、お腹がゴロゴロ鳴ったり、おならが出やすい、というガス型の症状が多く見られます。
前者の腹部の不快感や腹痛、食欲不振のため食事が思うように取れない、慢性的な便秘や下痢といった症状はは自律神経失調症や普通神経症に含まれます。
また、後者のガス型は腹鳴恐怖や、おなら恐怖症と言われることもある対人恐怖症や強迫神経症に含まれる症状になります。
そして、後者の場合は、ガスが漏れて周りの人に嫌がられているのではないかとか、無意識のうちにガスやおならの臭いが漏れ、周りにいる人に迷惑をかけているのではないかと感じてしまうことが多いものなのです。
おならやガスと異なり、腹痛や下痢の場合でも、これは誰でも時によっては起こるものですが、何かのイベントの前とか、学校へ行く前など、決まった状況の下で起こる場合は、過敏性腸症候群から来ている場合が多いと思います。
また、慢性的な下痢の場合、1日に3回以上トイレに行くとか、常に便意を感じ、トイレに駆け込むという形で現れることもあります。なお、便意ではなく、尿意を常に感じ、トイレに行ってもまた、すぐに行きたくなるという場合は、過敏性腸症候群というよりも、頻尿恐怖だと考えた方が良いと思います。
ただ、この頻尿恐怖も神経症の代表的な症状の一つになります。
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2.原因
今、上にも書きましたが、過敏性腸症候群の場合は、自律神経失調症や普通神経症に含まれる症状と対人恐怖症や強迫神経症に含まれる症状の2通りがあります。
腹痛や慢性的な下痢など自律神経失調症や普通神経症に含まれる症状の場合は健康不安から来る体調の悪さに対する「とらわれ」が原因になっていると言って良いと思います。
つまり、常に胃腸の調子が良く快便状態でなければならないという「かくあるべし」の「とらわれ」が出来ると、逆にかえってお腹や便通の異常に敏感になってしまうものなのです。
そして、この結果、腹部の不快感や腹痛のため食事が取れないとか、便秘、下痢といった症状が起こりやすくなるものなのです。
これに対して、お腹がゴロゴロ鳴ったり、おならが出やすい、というガス型の症状の場合は、腹鳴やガスのことで周りの人から変に思われたらどうしようという対人不安が原因になっているものなのです。
つまり、少しでも、お腹が鳴ったり、おならをしたり、ガスが漏れたりすると、周りの人から変に思われ、嫌われるに違いないという思い込みがあると、どうしても、ここに「とらわれ」が出来、症状が固着してしまうものなのです。
ですから、過敏性腸症候群の場合は胃腸などの身体的な異常が原因ではなく「とらわれ」という心理的な要因が原因だと言って良いと思います。
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3.薬なしの対応
今、上にも書きましたが、過敏性腸症候群の場合は胃腸などの身体的な異常はありませんので、胃薬や整腸剤、漢方薬などを飲んでも、これでは根本的な対応にはならないものなのです。
今は市販薬でも胃酸を抑える薬などがありますので、余計に薬に頼りやすくなっているのではないかと思います。
確かに制酸剤などの薬を飲めば、一時的には症状が楽になりますが、長い目で見ると、ますます「とらわれ」を強くすることになってしまうのです。
また、漢方の考え方に基づき、鍼やお灸などでツボを刺激する事で治そうとすることも多いですが、これらも過敏性腸症候群の場合には逆効果になってしまうものなのです。
ですから、症状だけに目を向け、これを無くそうとする薬や漢方的な治療に頼るのではなく症状に対する「とらわれ」を解消する方向の方が好ましいと言えるのです。
そして、このためには森田療法の考え方を身に付けていくのが一番の近道だと言って良いと思います。
つまり、森田療法の学習をしていく中で、過敏性腸症候群の症状に対する「とらわれ」が薄れてくれば、これに比例して腹部の不快感や腹痛、食欲不振、慢性的な便秘や下痢、お腹がゴロゴロ鳴ったり、おならが出やすいといった症状は治ってくるものなのです。
ですから、これが過敏性腸症候群の場合の最も根本的な対応になると言って良いと思います。
ただ、上に書かせていただいたような症状が見られても、実際に食あたりとか、本当に内臓に異常があって症状が起こっている場合もありますので、一度、専門医のいる病院で検査や診断をしてもらって異常がないという場合に過敏性腸症候群から来ている可能性が高いと考えた方が良いと思います。