(原因と治し方、克服の解説)
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更新日 2021.05.05
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1.赤面症とは
人前で顔が赤くなることで悩む赤面症は森田療法では赤面恐怖と言われますが、このサイトでは一般的な名称を使用させて頂きます。
赤面症は人前で顔が赤くなってしまうとか、赤みをおびる、という形で現れることが多いですが、人によっては、頬が赤くなることが悩みだったり、耳たぶが赤くなることが悩みだったりと、赤くなる場所は人それぞれですが、その人にとって一番、見られると恥ずかしいと感じている場所に起こりやすいものです。
ただ、いずれの場合も、人前で顔が赤くなることで、人から変に思われるのではないかとか、自分が相手に好意を持っていると勘違いされるのではないかとか、考えていることが多いものなのです。
また、赤面症は他の対人恐怖の悩みと同様に苦手な相手とか自分にとって影響が大きいと思える相手に対して起こることが多いものです。
若い人であれば自分と同年代の異性の前で赤面が起こり、会社員であれば苦手な上司とか、学生であれば担当の先生とか、自分にとって影響が大きいと感じる相手に起こる場合が多いものなのです。
また、赤面症に悩んでいる時は、顔の赤くなっているのを隠すためにメイクをしたり、髪を伸ばしたり、帽子をかぶったりしたりすることも多いものです。
しかし、これらは森田療法で言っている気分本位の「はからい」の行動になりますから、一時的には楽になれたとしても、長い目で見ると、ますます赤面症の症状を強くすることになってしまうのです。
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2.赤面症の原因
赤面症も対人恐怖の1つですから、人から変に思われたらどうしようという不安が根本的な原因だと言えます。
つまり、人前で顔が赤みをおびたり赤くなることで人から変に思われてしまうという思いがあると、かえって赤面が起こりやすくなるものなのです。
森田療法では、これを精神交互作用と言っていますが、赤面の方に注意を向ける事で、ますます顔が赤くなりやすいものなのです。
また、授業中に突然指名されて発言しなければならない時に顔が赤くなり周りの人たちから笑われたといった、恥ずかしい思いをした経験があると、これが「キッカケ」になって赤面症が起こるようになることも多いものなのです。
つまり、こういう恥ずかしい経験が「キッカケ」になり、注意の方向が赤面の方に向きやすくなるのです。
ですから、これが外的な原因だと言っても良いと思います。
そして、今度は顔が赤くならないようにと考え人前を避けたり、メイクをしたり、髪を伸ばしたり、帽子をかぶったり、サングラスをしたりといった工夫をしてしまうことで、逆に余計に赤面症を強くしてしまうものなのです。
森田療法では、これを気分本位の「はからい」の行動と言っていますが、こういう誤った方向の努力を繰り返すことで、ますます赤面症の症状を強くしてしまうのです。
ですから、これが内的な原因だと言って良いと思います。
そして、この内的な原因が赤面症に一番、影響していると言って良いと思います。
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3.治し方と克服のためのヒント
今、上にも書きましたが、赤面症は対人恐怖の一種であり、うつ病などの心の病気とは全く異なるものなのです。
また、赤ら顔などとも異なり体質的な原因もほとんどないと言って良いと思います。
どちらかと言えば、色白の人の場合に赤面した状態が目立ちやすい傾向はありますが、これと赤面症の悩みは別問題だと考えて良いと思います。
つまり、同じ程度に顔が赤くなっても、赤面症に悩んでいない場合は、それほど気にならないものなのです。
ですから客観的な赤さとは、あまり関係ないと言って良いと思います。
つまり、顔の赤さに対する「とらわれ」が出来ているかどうかが問題なのです。
このため、薬を飲んで一時的に赤面症の症状を和らげたとしても、これでは根本的な解決にはならないと言えるのです。
また、メイクをしたり赤みを抑えるような塗り薬を使っても、これも根本的な克服には結びつかないものなのです。
また、病院によっては手術で治そうとする所もありますが、これも赤面症の場合には根本的な治し方にはならないと思います。
つまり、顔が赤くなることで人から変に思われるという「とらわれ」が薄れてくることで、初めて赤面症を克服していけるものなのです。
そして、このためには森田療法の考え方(森田理論)を身に付けていくのが一番の近道になると思います。