(原因、克服方法の解説)
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更新日 2024.11.23
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1.概要説明
対人恐怖症は社会不安障害や対人恐怖、社交不安症とも言われますが、人前で緊張し思うように話が出来なくなってしまうとか、顔が赤くなってしまう、人の視線が気になってしまう、といった症状で現れてくる、強迫神経症の中でも特に日本人に多く見られる心の悩みです。
日本のような集団行動を重視する社会においては、アメリカなどの個人主義の国に比べ、人間関係(対人関係)が崩れることは、社会的な死を意味するほどであり、この「社会的な死の恐怖」から対人恐怖症の症状が起こりやすくなっているのではないかと思います。
なお、対人恐怖症は、社会恐怖、社会不安障害、社交不安症と呼ばれている症状と実質的には同じことになります。
対人恐怖症には色々な症状がありますが、いずれの症状も、人から変に思われるのではないかとか、嫌われたらどうしようといった人間関係(対人関係)の不安が根底にあると言えます。
人見知りをするとか、人に気を使うということは、誰にでも多かれ少なかれあるものですが、これが過度に強くなり、「とらわれ」が出来、心の悩みになっているのが対人恐怖症に悩んでいる状態だと言っても良いのではないかと思います。
また、対人恐怖症の症状に悩んでいる人は、かつての私もそうでしたが、悩みを治すために、性格の治し方や心理学関係の本を読んだりするものです。
また、催眠や自己暗示といった民間療法で治すことを試みたり、宗教的な修行に救いを求めたりすることも多いように思います。
しかし、このような対人恐怖症の症状だけに目を向け、これを治そうとする方向の行動は森田療法で言っている気分本位の「はからい」の行動になりますから、取れば取るほど、逆に、かえって症状を強くしてしまうものなのです。
なお、最近は対人恐怖症の場合でも精神科や神経科、心療内科などの病院で診てもらうと、社会不安障害や社交不安症、中にはうつ病などと診断され、抗うつ薬や抗不安薬、精神安定剤などの薬物療法で治療されることが多くなってきたように感じます。
そして、このために、抗うつ薬や抗不安薬、精神安定剤などの薬物依存の問題も起こりやすくなっているのではないかと思います。
また、最近、テレビや新聞などのマスコミで目にすることの多くなった発達障害とかコミュ障(コミュニケーション障害)、アスペルガー症候群と言われている症状の中には対人恐怖症の場合が、かなり含まれているように思います。
しかし、対人恐怖症は障害とか病気とは全く異なりますので、誤解しないようにしていった方が良いと思います。
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2.症状のチェック
対人恐怖症の主な症状をまとめると下記のようになります。
これらを参考にして、ご自分の悩みが当てはまるかどうかをチェックしてみるのも良いと思います。
(具体的な症状)
1.赤面症:顔が赤くなることで悩む
2.視線恐怖:人目が気になる
3.劣等感:内気な性格が恥ずかしい
4.書痙:字を書く時に手が震える
5.震え恐怖:大勢の人前で足や声が震える
6.笑顔恐怖症:笑った時に顔が引きつる
7.表情恐怖:自分の表情が気になってしまう
8.醜形恐怖症:自分の顔だちや体が醜いと思い込み悩む
9.多汗症:人前で汗が異常に出てしまう
10.正視恐怖症:自分の視線が相手を不愉快にすると感じ悩む
11.吃音恐怖:人前でどもってしまう
12.雑談恐怖症:仕事以外の会話になると話せなくなる
13.おなら恐怖:おならのために周りの人から嫌がられていると感じる
14.唾液恐怖症唾を飲み込む時の音が人に聞こえてしまう -
3.原因
対人恐怖症にどうしてなるかということですが、森田療法では2つの要因があると言っています。
1つは「外的要因」と言われているものであり、学校の授業中に突然指名され発表する時に声が震えてしまったというような恥ずかしくショックな出来事が「キッカケ」になることが多いものなのです。
そして、もう1つは「内的要因」と言われているものですが、不安や緊張などの感情や、赤面や震えなどの症状に対する「誤った考え方」というものが挙げられます。
つまり、人前で緊張したり声が震えてしまうことを、人から変に思われる恥ずかしいことであり、絶対にあってはならないことだという「誤った考え方」があると、かえって緊張や声の震えの症状の方に注意が向いてしまうことになるのです。
そして、この結果、注意と症状の悪循環が起こり、対人恐怖症の症状を、ますます強くしてしまうものなのです。
そして、こういう「誤った考え方」や認識は神経質性格の特徴を持っている人に起こりやすいものなのです。
ですから、対人恐怖症の症状は「外的要因」が「キッカケ」になり、神経質性格や感情や症状に対する「誤った考え方」などの「内的要因」によって、ますます強くしてしまうと考えて良いと思います。
このため、この2つが対人恐怖症の原因だと言って良いと思います。
つまり、脳とか神経の異常が原因ではありませんので、安心して下さい。
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4.改善と克服のための方法
先ほども概要説明のところでも書きましたが、今は精神科や心療内科の病院などに行くと、対人恐怖症の場合でも社会不安障害や社交不安症と診断され、薬による治療をされるのが一般的になっていると思います。
しかし、症状の原因のところでも書きましたが、対人恐怖症は注意と症状の悪循環によって「とらわれ」が出来、この結果として症状が強くなるものなのです。
ですから、いくら抗うつ薬や抗不安薬、精神安定剤などの薬を飲んで強制的に不安や緊張を感じにくくしても、こういう治し方では根本的な治療にはならないのだと思います。
先ほども書きましたが、対人恐怖症の症状に悩んでいる時は、緊張や不安、症状を感じて当然の時でも、これを異常なものとか、恥ずかしいことと考え、排除しようとしていることが多いものです。
そして、このために、ますます緊張や不安、症状を強くしてしまうという「悪循環」に陥っているものなのです。
ですから、まず、今は、対人恐怖症に悩んでいる最中だから緊張や不安、症状を感じて当然なんだと受け止めるようにしていくのが第一歩になると思います。
そして、この上で、目の前の「なすべきこと」を1つ1つ、きちんとこなすようにしていくと良いのだと思います。
つまり、これが森田療法で言っている目的本位の行動ということになるのです。
そして、このように目的本位に行動していくことで、その時の緊張や不安、症状を「あるがまま」に受け止めることが出来るものなのです。
そして、この積み重ねの中で少しずつ症状が改善してくるものなのです。
つまり、目的本位や「あるがまま」など、森田療法の考えを意識しながら行動していく中で、緊張や不安、症状が少しずつ小さくなり、この積み重ねの結果として、対人恐怖症の症状を克服していくことが出来ると言って良いと思います。