(原因と克服方法の解説)
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更新日 2021.06.14
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1.はじめに
私たちは色々な物音の中で生活していますが、普段はこれが意識に入らないことがほとんどだと思います。
しかし、中には物音が気になり悩んでいる人もいるものなのです。
私も物音には敏感な方で、夜、寝る時に窓のカタカタする音が気になり寝にくい時があります。
しかし、中には、もっと敏感に物音が気になり悩んでいる人もいるものなのです。
これが雑音恐怖症と言われているものなのですが、このページでは、この悩みについて、私自身の経験を元にして解説させて頂きたいと思います。
もし、今、このページをご覧になっているあなたが、物音のことで悩んでいるのであれば、いくらかは参考になるのではないかと思います。
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2.雑音恐怖症とは
大きな音がすれば、誰でも気になってしまいますが、普通であれば気付かないような小さな物音に常に注意が向き、気になり悩んでいる人も中にはいるものなのです。
これが雑音恐怖症と言われているものなのですが、これは一言で言えば、物音に対する「とらわれ」が出来ている状態だと言って良いと思います。
たまたま、夜、思うように眠れなかった時に時計の秒針の進む音が耳に入り、これがキッカケになって、今度は時計の秒針の音が気になり眠れないようになってしまう人も多いものなのです。
また、職場の上司が出す咳払いの音が気になり仕事に集中できなくなってしまうという人も中にはいます。
ただ、不思議なことに、たとえば、いびきが気になって眠れないという人も多いのですが、中には、伴侶がいびきをかいている方が安心して眠れるという人もいるものなのです。
つまり、同じ「いびき」の場合でも、これが気になって眠れなくなってしまう場合と、逆に安心して眠れる場合があるのです。
そして、安心して眠れるのは、伴侶が普段、不眠気味で良く眠れないことが多かったりする場合なのです。
こういう状況にあれば、いびきをかいてくれることは良く眠れているということになり、これで安心し、本人も良く眠れるということになるのです。
つまり、その人の考え方や価値観によって、物音が気になったり、逆に心地よかったりするものなのです。
このように、ちょっとした心の置き所の違いで物音が気になったり気にならなかったりするのが雑音恐怖症の場合の特徴だと言って良いのではないかと思います。
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3.雑音恐怖症かどうかのチェック
下に箇条書きで、物音が気になる時の色々なパターンを書かせて頂きました。
もし、これらの項目の中に当てはまるものがあれば、あなたの今の悩みは雑音恐怖症の可能性が高くなると思います。
1)時計の針の音が気になり眠れない。
2)隣の部屋の物音が気になり目の前のことに集中できない。
3)上の部屋の人が歩く音が気になり落ち着かない。
4)職場の上司がクチャクチャとガムを噛む音が気になり仕事に集中できない。
5)周りの音が気になり家事に集中できない。
6)図書館で話し声が気になり勉強に集中できない。
7)職場で電話の音が気になり気が散ってしまう。
8)周りの声が気になり作業に集中できない。
9)咳払いの音を聞くと腹が立ってしまう。
10)電車の音が気になり心が落ち着かない。
11)いびきが気になり眠れない。 -
4.雑音恐怖症の時に同時に起こりやすい悩み
物音が気になることで悩んでいる時は下記のようなことも感じていることが多いと思いますので、紹介させて頂きます。
1)不完全恐怖
これは自分の取った行動に抜けがあるのではないかと感じ、悩むものです。
例えば、外出する時に家の鍵をかけたかどうかが気になり、何度も確認するために戻ってしまうといった形で現れます。
人一倍、完全欲の強い神経質性格を持った人の場合、何事に対しても100%完全を求めやすいものなのです。
そして、このために自分の取った行動に抜けがあるのではないかと感じ、気になってしまうものなのです。
雑音恐怖症に悩む人の場合も完全欲の強い神経質性格を持っている場合がほとんどなのです。2)心配性
これは神経質性格の特徴の1つだと言っても良いと思います。
今、上にも書きましたが、完全欲が強いために不安や心配も感じやすくなるものなのです。
森田療法では欲望と不安は表裏一体の関係にあると言っていますが、完全欲が強ければ強いほど不安や心配も感じやすくなるものなのです。
そして、この不安や心配の方だけに目を向け、これを無理に無くそうとしてしまうと、一時的には楽になれたとしても、長い目で見ると、逆に、余計に不安や心配を感じやすくなり、結果的に常に心配ばかりしている状態になりやすいものなのです。3)雑念恐怖症
これは、例えば勉強している時に他の考えが頭に浮かび、勉強に集中できなくなってしまうという形で現れるものです。
つまり、物音が気になるのと同じように、頭の中に他の考えが浮かんでしまうのが気になる状態だと言って良いと思います。
勉強や仕事をしてる時は、他のことを考えたりせず集中しなければならないという考えを持っている人は、逆に、余計に他の考えが頭に浮かびやすいものなのです。 -
5.雑音恐怖症に影響すること
物音が気になり勉強や仕事に集中できないと悩むのは、勉強や仕事をしている時は何も物音がせず静かな状態でなければならないという「かくあるべし」の考えを持っているからだと言って良いと思います。
そして、こういう「かくあるべし」の考えを持ちやすいのは神経質性格の特徴を持っている人の場合なのです。
ですから、これが第一に雑音恐怖症に影響すると言って良いと思います。
そして、図書館で勉強していた時に周りの話し声が気になってしまったというような出来事があると、これが「キッカケ」になり音に対する「とらわれ」が出来るようになることが多いものなのです。
ですから、こういう「キッカケ」が第二に影響すると言って良いと思います。
つまり、この2つのことが雑音恐怖症に大きく影響しているものなのです。
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6.原因
雑音恐怖症はさきほども書かせて頂きましたが、「かくあるべし」の考えを持ちやすい神経質性格の特徴を持っている人が、物音が気になるような状況に置かれたことを「キッカケ」として起こるようになるのだと思います。
つまり、物音が気にならないようにと考え、色々行動することで、逆に余計に物音が気になるようになり、この結果、「とらわれ」が出来、起こってくるものなのです。
ですから、神経質性格の特徴を持っていることと、物音が気にならないようにと考え行動してしまうという、2つのところに原因があると言って良いと思います。
物音が気になるというのは感情の1つの表れですから、本来、これを自分の意志の力でなくすことは出来ないものなのです。
しかし、この感情の事実に気付かず、無理に物音が気にならなくなるようにと考え行動してしまうことで、逆に余計に物音が気になるようになってしまうものなのです。
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7.克服方法
神経質性格の特徴を持ち、物音だけに目を向け、これが気にならなくなるようにと誤った方向の努力を積み重ねた結果、「とらわれ」が出来ている場合は、この「とらわれ」を解消することが大切になってきます。
そして、このためには森田療法の学習により、誤った方向の努力を軌道修正していくことが必要になると思います。
具体的には目的本位など森田療法の考え方に沿って毎日の生活の中で行動の仕方を変えるようにしていくということになります。
こうしていく中で自覚が深まり「目的本位のクセ」が身に付いてくると、これに比例して物音に対する「とらわれ」が薄れてくるものなのです。
そして、こうなれば色々な物音を「あるがまま」に受け止めることが出来るようになり、この結果、雑音恐怖症を克服することが出来るものなのです。