(原因と克服方法の解説)
-
更新日 2021.05.09
-
1.はじめに
来社されたお客様にお茶を出す時に手が震えてしまうと悩む女性社員や、取引先のお客様を接待するような状況でお客様から変に思われたらどうしようと不安や緊張を感じてしまう営業の人も多いものです。
このページでは、こういう悩みを抱えている人の参考にして頂ければと思い、作成いたしました。
-
2.接待恐怖症とは
これは会社などで、お客様を接待する時、例えば、来社されたお客様にお茶を差し出す時に手が震えるのではないかと恐れ不安になる、というような形で現れるものです。
また、出張などの時に、夜、一緒に食事に行ったり、カラオケや飲み会で相手をするということも多いですが、こういう状況の時に不安や恐怖、緊張を感じてしまうという形で現れることも多いものです。
なお、手の震えの悩みとしては、人前で字を書く時に手が震えてしまう「書痙(しょけい)」と言われる症状がありますが、お客様にお茶を出す時に手が震えてしまうという場合は、書痙に近い症状ということで、「茶痙(ちゃけい)」と言われることもあります。
また、初めにも書きましたが、手の震えに限らず、カラオケや飲み会で、お客様を接待しなければならない時に、お客様から変に思われたらどうしようと不安や緊張を感じてしまうのが、接待恐怖症の特長だと言って良いと思います。
つまり、この接待恐怖症も人から変に思われたらどうしようという不安が背景にありますので、対人恐怖症の症状に含まれるものなのです。
-
3.接待恐怖症に影響すること
他の対人恐怖症の場合と同様に人見知りしやすいなど神経質性格の特徴を持っていることと、接待の場面で大きな失敗をしたというようなマイナスの経験がキッカケになることが多いものです。
人一倍、几帳面で完璧主義の傾向の強い神経質性格の特徴を持った人の場合、客観的に見れば、たいしたことのない失敗の場合でも重大な失敗をしたと感じてしまうことが多いものなのです。
ですから、これらが接待恐怖症の場合にも影響してくると言って良いと思います。
-
4.原因
今、上にも書きましたが、神経質性格を持っていることと、接待の場面での失敗といったマイナスの経験が根本的な原因になると言って良いと思います。
そして、これに加えて、また失敗したらどうしようという不安に引きずられて接待の場を逃げてしまうという森田療法で言っている「気分本位の行動」を取ることを繰り返してしまうことで「とらわれ」が出来、これによって接待恐怖症の症状を確固たるものにしてしまうのです。
ですから、これが直接的な原因ということになると思います。
-
5.克服方法
森田療法の学習をしていく中で、他の対人恐怖症の症状と同様に人前での緊張や不安に対するとらわれが薄れてくれば、これに比例して接待恐怖症の症状は改善し、克服していけるものなのです。
具体的には不安を感じながらも、接待の場から逃げないようにし、自分の「やるべきこと」をきちんとこなすようにしていくということになります。
これが森田療法で言っている目的本位の行動ということになるのですが、この行動の積み重ねの中で「とらわれ」が薄れてきて、この結果として症状を克服することが出来るのです。